パッシブ・リスニング

第一回目に「聴くことが大切」ということを書きましたが、今回はもう少し「聴く」ということに踏み込んでみます。

「聴く」のなかには
「パッシブ(受動的)・リスニング」と「アクティブ(積極的)・リスニング」
があります。

今回は「パッシブ・リスニング」の方を説明します。

「パッシブ・リスニング」というのは、相手の話を(基本的に)だまって聴くことを言います。
「頷く」「相づちを打つ」など、普段私たちが無意識にでもやっているようなことです。
ただ、相手の話を遮って、自分の話をする人が多いなかでは、この「パッシブ・リスニング」ができるだけで充分という気も、私はしてしまいます。

「聴く」ということを一度意識すると、自分がどれほど相手の話を聴けているのか、思ったより聴けていないことに驚くはずです。

私も塾の講師をしていましたので、聴くことには結構自信があったのですが、このことを習い、生徒の話を聞いてみて初めて(このあたりを習ったのは塾講師時代だったので)、自分が、かなり安易に、相手の話の途中で、「大丈夫だよ」と口を挟んでいたことが分かりました。

相手の話を遮らないで、相手が満足するまで話させてあげるというのは、実はかなり大変なことです。忍耐と愛情と時間が必要です。

ただでも、言いたいことを我慢して、「そうなんだ」「うん、うん」などとだけ言いながら、話の先を促すと、始めに「きっと、こういうことで悩んでいるってことだろう」と勝手に決めつけていたこととは違う、もっと深い悩みや、問題が出てきたりするのです。
「あぁ、ちゃんと聞いておいて良かった」
と、そういうとき、思います。

この「聴く」ということを習うまで、私は、人というのは(特に自分がそのころ向き合っていたのが子供だったので)、アドバイスを求めて話をしてくるのだろう、だから効果的なアドバイスをしなくてはいけない、と思っていました。
でも、自分で「今日はいいことを言った」と思ったときより、「けっきょく聴いていただけで、なんにも役立つことを言えなかった気がするな」と消化不良に感じたときの方が、生徒に「話せて良かった」と感謝してもらったりして、「え? え? なんで?」と感じていました。

でも、「聴く」ということを意識し、「相手は話したがっている」ということを常に心においておくことで、見えてきたものがとても多かったです。

私が心理学を習った日本メンタルヘルス協会の衛藤先生は、
「問題というのは、その人に与えられた課題です。聴く人間は、それを意識していないといけない。自分が代わりに問題を解いてしまったら、そのときはいいかもしれませんが、相手の成長の機会を奪うことになるのです。そして、そういう関係は、依存になる可能性もあります」
と言われていました。
「ガンッ」と頭を殴られた気分でした。

みなさんも、従業員や部下や、子供や友達に悩みを相談されたとき、是非、このことを意識してみてくださいね。