とらえ方をかえる

元気のない従業員に声をかけてみたとき、相手が自分の抱えている問題や、気持ちを話してくれるようなら、ともかく聞くことが大切です。

そして自分ひとりでは解決できそうもない問題だったら、医療機関を薦め、専門家に任せることも必要だということまで書きました。

ただ、もし、その従業員が「少し落ち込んでいる」くらいの状態で、こちらの話やアドバイスを聞いてくれそうな状況でしたら、こんなことを話してあげるのもいいかもしれません。

それは、「起こる出来事はひとつでも、とらえ方は何通りもある」ということ。

物事のとらえ方には、人それぞれの思考の癖や性格というのが出ることが多いのですが、意識して変えていくこともできます。

たとえば、
「雨が降ると、なんとなく憂鬱になる」
と思っている人は多いのではないでしょうか?

でも、水不足が続いていたときに雨が降ったら、農家の人やプールに入りたかった子供は喜ぶでしょう。
そして、自分は都会に住んで会社勤めをしていて、農家とはまったく関係がなくても、「きっと農家の人は喜んでいるだろうな」と、一緒になって喜べる人もいます。
(ちなみにこれは実話です。「雨で嫌だなぁ」と思っていたとき、友人がさらりとそんな言葉を口にしたときがありました。素敵な言葉ですよね)

だから、
「雨が降ると、なんとなく憂鬱になる」
というのは、当然の論理だと思っている人もいるかもしれませんが、そうではないのです。

「雨が降る」という事実と、
「憂鬱になる」という感情のあいだには、あなた自身の「物事のとらえ方」が入っ
ています。

だから、
「書類のデータを一部、間違えてしまい、注意された」
という事実があった場合に、
「こんなこともできないなんて、自分はもうダメだ」
と思う人もいれば、
「これくらいで注意するなんて、腹が立つ」
と思う人もいれば、
「もっと重要な書類で間違えなくて、良かった。やりかたを変えよう」
と思える人もいるわけです。

一番最後の考え方をできれば、一番初めの考え方をする人より心を病む可能性は減るでしょう。

これは、心理学では「ABC理論」と言いますが、もし初めて聞いた考え方でしたら、是非、まず、ご自分の思考の癖を見つけてみてください。
そして、理解ができたら、心を疲れさせてしまう考え方の癖を持っている従業員に、ちょっとアドバイスをしてみてくださいね。